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変化の激しいこの時代に、「永遠」を誓うということ。 ~ミレニアル世代夫婦の、ちょっと変わった結婚式~ /三保の松原 栄縁結婚式(前編)

更新日:2018年7月10日



目まぐるしく変化していくこの時代、何もかもが不確実なこの時代に、 私たちは、どうやって「永遠」を誓うことができるんだろう。そんな問いから始まった、ある若い二人の、結婚式をめぐる物語。


※本記事は、2年前の三保松原地域活性化プランコンテストにて 「世界遺産の地、三保の松原を、永遠の愛を誓う結婚式の聖地に」というアイディアを提案したチームの中の2名が、プランの実現に向けて、実際に行われる結婚式を手伝った感想も踏まえて執筆しています。



こんなにも未来が不確実な時代。

どうやったら、永遠を誓えるんだろう。




「自分たちが結婚を迎えるってことを、実際に直面した時に、 すごい正直な気持ちなんですけど、 気負いだったりとか、不安とか心配があったんですね。 結婚式は神父さんが、『永遠の愛を誓いますか』って聞くじゃないですか。 僕にはその問いが、 すごいすごい、重い言葉だなって。」



公私ともどもパートナーの土肥梨恵子さんとの結婚式を控えて、 ゆっくりと、ひとことひとことをかみ締めて話す、町塚俊介さん。


2年前、ワークルというキャリアコミュニティの会社を二人で起業して以来、 毎日のように起きる変化を、一緒に乗り越えてきた二人はその時、 遠い遠い未来を見据えて、不安と困惑が渦巻いていました。



「こんなに変化が激しい中で、未来を約束するのはすごいことだなっていう、そんなことを思ったんですね。」



「何だったら、「永遠の愛」っていう、この時代においてはすごいチャレンジに、取り組めるだろうって考えたんですね。」



結婚への価値観が変わり、結婚しなくても幸せになれるこの時代。 それでも、不確実な時代を超えて、永遠の愛を誓うということ。 その約束の重みに、あなたなら、どう向き合うでしょうか?



まっすぐ真摯に、向き合っていく中で二人は、 ふとあるヒントに達しました。



「その時に浮かんできたイメージが、山であり、森であり、生態系のイメージだったんですね。」



そして、永遠の愛を誓う結婚式の舞台は、 ある豊かな自然の中へ。



生き物は、一人で生きてるんじゃない。

みんなで、支え合って、生きてるんだ。


ここは、静岡県、三保の松原。富士山、駿河湾、そして海岸の松林。その三位一体の美しさに、古来より様々な芸術家が心奪われてきた、日本の聖地です。富士山の大事な一部として、一昨年には世界文化遺産にも認定されました。



永遠の愛を誓うにあたって、お二人はなぜこの地を選んだのでしょうか。



それは、 生命を育む母なる海、駿河湾、 雄々しく世の中を見渡す父なる山、富士山、 そして、年中葉を落とさないことから永遠の象徴とされる、松林。



この三つの組み合わせが、まさに 夫婦が永遠の愛を誓うにふさわしいからでした。



それでは、この地で 「何があれば永遠を約束できるのか、永遠の愛は何によってつくられるのか」



そんな問いに向き合う中で、二人が見えてきたもの。 それは。


「自分達だけにとどまらない、土地や人との豊かなつながり、『栄えある縁』が、永遠を作るのではないか?」 という仮説でした。



パートナーシップも、夫婦も、そして様々な人とのご縁も、 常に影響しあい、変化をします。 また、時間を重ねて行く上で、 試練も、各自の至らなさを知る場面も数多くあるでしょう。 その中で、基盤となるパートナーシップの繋がりを保ち続けるのは、 ”夫婦を基盤としたネットワーク全体の強さ”だと思います。



かあった時に夫婦にとどまらず広い人間関係で補完しあえて、 かつ全体として、柔軟に変化し続けられるような。 それはまるで、生態系としての森の中で、 木はたった一本で生き抜くのではなく、 お隣の植物と、川から流れて来る水と、森を駆け回る動物と、 共に支え合いながら、みんなで生きていくように。 夫婦たった二人では心もとない絆も、 多くの人との豊かなご縁が、互いを支え合うことで、 不確実な変化の中でも、「永遠」にチャレンジできる。


そんな想いから、ここ三保の松原で、 「栄えある縁が永遠をつくる」というコンセプトの下で、 永遠の愛を誓うことになりました。



そうして、結婚式、当日。



「緊張するね」「うん」、 でも、私たちは、二人だけじゃない。



夫婦ともども慣れない試みに、初々しい緊張が垣間見えます。



両家のご親族やご友人、そして地域の人たちも集まって来た中、 まずは、松林の中で、永遠を願って松の植樹です。



最初に、大地とのつながりを感じるために、 目を閉じて、身の回りの自然を肌に感じます。


小鳥のさえずり、そよぐ風、木々のざわめき。 それはまさに、「今、たくさんの命の中に、私は生きてる」 そんな生態系の中に、自分たちがいる感覚でした。



続いて、お世話になっている三保の地域の方から松の苗を頂いて、松林の中に植えます。いずれは立派に育つ松も、最初はこんな風に、生まれたばかりの赤子のよう。


両家のお父様は父なる大地としての土をかけ、お母様は母なる海としての水をかけます。



ちょっと目を離したら倒れそうなほど、かよわい松の苗。 「大きく育つんだぞ。」と、真心こめて丁寧に植えて、水と土をかけます。


そして最後に、集まってくれた方々みんなで、 苗に水をかけていきます。



世界遺産の地、三保の松原に今、新たな命が宿る。 この松はこれから、周囲の生命との豊かな縁に支えられながら、 数十年をかけて、この地の大事な一部を担っていく。



50年後、私の周りには、 どんな縁が広がり、支えてくれてるんだろう。


今、ここに集う皆とともに、自分もその命に潤いを与えることを通して、大きな大きな命の輪の中に、自分も加わった、そんな感覚。数十年後、この松が立派になったとき、私たち自身の周りには、どんな豊かな縁が広がっているのだろう?そんな想像を膨らませながら、一人一人、水をあげていきました。


 

さて、松の植樹を終えて、次は、参進の儀。 かつて三保の海岸に舞い降りた天女が神社を訪れる際に通ったとされる、「神の道」を、参列者みんなで歩いて、神社の本殿へと向かいます。




日頃は聴かない雅楽の音色が響く中で進む、参進の儀。厳かで格調高い雰囲気の中で、両家がともに歩幅を合わせて歩いていると、 「これから新しい家族とともに人生を歩んでいくんだ」という気持ちが少しずつ、胸の奥深くへと染み入ってきます。



そうしてついに、永遠の愛を誓う神社へ、到着です。


時空を超えた世界に、

己の意志を刻み込む。

二つの家族が、一つになる。



すぐ後ろで両家の両親が見守る中で、新郎新婦は、清めのお祓いや盃の交わしあいなど、様々な儀式を一緒に執り行っていきます。


そう、キリスト教の挙式と違って、日本の神前式では、結婚とは、新郎新婦だけの愛の誓いではありません。家族と家族の、新たな結びつきです。



そして、神前式では、新郎新婦が神の前で、誓いの言葉を宣言します。静寂の中、この神聖な時空に言霊を刻み込むかのように響く、新郎の声。



互いに相結び、相助け、苦楽を共にして、長く久しく、夫婦の道を守り、平和な生活を営み、子孫の繁栄をはかることをお誓い致します。



嘘偽りの許されない神前にて、両家の親族に暖かく見守られながら、確かに言葉を紡ぐという行為。それは、新郎新婦だけの誓いというより、 両家が今まさに、一つの大きな家族になっていく、そんな、人とのつながりに満ちた永遠の誓いでした。



さ、ようやく無事に永遠への愛の誓いを終えました! みんな、最初の緊張が徐々にほどけて、なんだかあたたかな雰囲気です。


それでは次は、披露宴だ!





※本記事は、2年前の三保松原地域活性化プランコンテストにて

「世界遺産の地、三保の松原を、永遠の愛を誓う結婚式の聖地に」というアイディアを提案したチームの中の2名が、プランの実現に向けて、実際に行われる結婚式を手伝った感想も踏まえて執筆しています。


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